History

沿革

柏商会100年のあゆみ

第4章

時代のニーズに応え続けるために

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台風21号で被災した関西国際空港と京都駅の復旧

関西各地に大きな被害をもたらした台風21号

2018(平成30)年の台風21号は、非常に強い勢力で9月4日に徳島県南部に上陸して近畿地方を通過した後、日本海に抜けていった。最大瞬間風速50m/s を超える記録的な暴風が観測され、各地で窓ガラスや屋根の破損、停電などの被害が発生。大阪湾沿岸では高潮が生じ、大阪で329㎝という過去最高の潮位を記録した。

当社では大林組からの要請を受け、台風21号で被害を受けた関西国際空港と京都駅の復旧に携わることとなった。

関西国際空港の復旧

関西国際空港は、連絡橋の破損や、高潮の影響による滑走路の閉鎖、コンテナの流出など、さまざまな被害が発生していた。ガラスに関しては、一般客の出入りがある旅客ターミナルの被害はなかったものの、国際貨物ビルや大阪国際郵便局の窓ガラスが割れる被害があり、当社が復旧にあたることとなった。

連絡橋が被害に遭い、車の通行が数日間不可能になったため、現場に到着したのは、台風が通過して5日後となる9月9日の日曜日である。現場には復旧作業に必要な業者が呼び寄せられ、騒然としていた。建物の窓ガラスが割れ、サッシや屋根ごと吹き飛ばされている部分があったことに加え、高潮で魚が打ち上げられるなど、厳しい状況であった。このエリアは、通常は一般人が立ち入ることができず、格納庫などもあるため、集合場所が決められて人の出入りが管理されていた。

当社では社員2名が1日がかりで、入れ替えが必要なガラスの種類と寸法を確認し、発注。ガラスが届き次第、着手できるところから取り替え作業を進め、サッシの入れ替えや屋根の工事が必要な部分は、その終了を待って作業をすることになった。

国際貨物を扱う建物の工事であるため、1日でも早く通常業務に戻せるよう復旧を急ぐことが求められた。当社は他の工事現場の状況を確認しつつ、人数を増やすなどして優先的に対応した。

関西国際空港の台風被害

台風21号の被害を受けた関西国際空港

関西国際空港の台風被害

台風21号の被害を受けた関西国際空港

京都駅の復旧

一方、同じく被害を受けた京都駅では、当社が施工したガラス屋根の2カ所4枚が、飛来物により割れて落下していた。幸い、台風情報を元に、JR が事前に立ち入りを禁止していた部分での事故だったためケガ人はなかったが、一刻も早い復旧が望まれた。

被害があった当日、すぐに現場に来てほしいと当社に連絡が入る。台風で電車は運休となっていたため自動車で向かうも、通常は2時間程度の距離であったが高速道路が通行できず、信号の故障も重なった。夜、京都駅に到着した時には、5倍以上の約10時間がかかっている。

4枚のガラスが割れていることを確認した後、朝になるのを待ち、割れた部分の撤去作業ができる社員に応援を求め、作業を開始した。JRは安全のため撤去作業を急ぎたい意向だったが、京都駅に隣接するホテルには宿泊客がおり、工事で発生する音が客室に響くため、宿泊客が多い時間は割けてほしいとの要望もあったという。さまざまな配慮が必要な作業となった。

さらに、特殊なガラスが使われていたため入手に時間がかかり、2、3日後にいったん仮のガラスを入れ、10月末に新しいガラスに入れ替えるという手順を踏んだ。

京都駅

京都駅(1997年竣工、撮影2025年6月)

京都駅
京都駅
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