新社屋の完成
土地の買い増しと社屋の建て替え
1994(平成6)年1月、本社社屋の隣にある40坪の土地が売りに出された。本社を建てたころと比較して業容が大きくなっていると共に、企業は土地を持っている方がいいという考えがあり、隣の土地は高くても買えと言われた時代だったため、当社は購入を即決した。
新しい土地を活かした増改築工事を大林組に依頼し、計画を進めていった。しかし、1995(平成7)年1月に発生した阪神・淡路大震災と同じ程度の強い地震に再び襲われると、従来の建物部分が倒壊する可能性があると判明し、全面建て替えを検討することになる。増改築と建て替えの費用を比較したところ、大きな違いはなかったため、建て替えが決定された。
問題は建て替え中の事業拠点であったが、大林組の大阪本店(大阪市中央区高麗橋)の地下が偶然にも空室になっており、安い賃料で貸してもらえることになった。また、すぐそばにあった大林組の管理地を、駐車場として利用させてもらった。
解体から竣工までの約1年間、大林組の社屋の中に下請け企業である当社が入居する形となり、業界内で話題になった。大林組との良好な関係が知られるところとなり、当社の信頼につながった出来事であった。
近代的な新社屋の誕生
正面をガラスで覆い、当社の願いである「魅力的な素材であるガラスで、街中を覆い尽くす」を形にした本社が、1997(平成9)年に竣工。鉄筋コンクリート5階建てで、1階が倉庫、2階が事務所、3階と4階が家族用の住居、5階は独身寮であった。新社屋を訪れた来客からは「ガラス工事をする会社の建物に見えませんね」と言われるほど、同業者の中では斬新なデザインの建物である。
社屋を建て替えたことで災害に強い建物になったと共に、求人の際にも、若い人たちがここで働きたいと思える、明るいイメージを与えることができるようになった。
1997年2月竣工時の本社ビル(出典:『建築と社会』第78 巻第7 号、1997年7月)