大型工事への対応
近畿大学東大阪キャンパス整備計画
2014(平成26)年以降、大型工事の受注も特筆すべきものがある。
2017(平成29)年に完了した近畿大学東大阪キャンパス整備計画(ACADEMIC THEATER)の第1期工事は、1995(平成7)年2月に竣工した大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)に次ぐ大型案件で、1案件でガラス事業の年間売り上げに達する規模であった。
A 棟からE 棟までのうち、苦労したのはE 棟の図書館であった。上から見ると小さな四角い建物が複数あるように思えるが、全てがつながっていて、壁面は全面ガラス張りとなっている。四角いガラスはなく、二等辺三角形のガラスを互い違いに並べ、コーナーの一部を金物で固定するMPG(Metal Point Glazing)構法という新手法を取り入れていた。ガラスの寸法出しは、CAD(Computer Aided Design)データを元にして発注し、現場では、届いたガラスが入るかどうかを事前に確認した後、運び入れるという手順で進めていった。
使用されたガラスは特殊なもので、製造できるメーカーが1社しかなかった。そのため、納品が遅れ気味になり、工期に間に合うよう工事の人員を増やして対応した。当社の他の現場を担当する社員が、作業が終わり次第応援に駆けつけるほか、これまで取引のなかった神戸の協力会社にまで声をかけて職人を増やし、多い日では1日でのべ64名がガラス工事のために動いている。通常でも、1日で4t トラック3台分のガラスが現場に入ると多い方だが、近畿大学の工事では、10tトラックが8台入ったこともあり、搬入する班とガラスを入れる班に分かれて効率良く作業をした。
施工の難易度が高く、ガラスの使用量が多い上に、工期も厳しい現場であった。当社では働き方改革を進めている最中で、日が変わるまでに作業を終えなければ、翌日の昼の仕事はできないというルールの下での作業となったが、ギリギリの時間まで総力を挙げてやり抜き、約半年で工事を終えることができた。
近畿大学東大阪キャンパス
近畿大学東大阪キャンパスのガラス事業部の工事(2017年完了)
ノックダウン方式が採用されたなんばスカイオ
商業施設とオフィスからなる複合施設のなんばスカイオも、大規模な工事であった。2018(平成30)年9月に竣工、地上31階、地下2階建ての建物で、低コストを理由に全面でノックダウン方式が採用され、当社が施工。ユニット化が開発されて以降、コスト面からノックダウン方式が敬遠されてきた中で、めずらしい工事となった。ガラスの使用量も多く、ワンフロアに対し、ガラスは4t 車約4台分が使用された。
また、ガラスの使われ方が通常の高層ビルの工事とは異なる部分があった。なんばスカイオの周辺はさまざまなビルが立て込んでおり、阪神高速もすぐ横を通っている。そのため、同じ建物でも場所によって異なる風圧がかかるため、小さな模型に風を当て、その状況を確認する風洞実験を実施し、かかる風圧によって異なる厚みのガラスを入れることになった。大型のガラスは通常、低層階で使用されることが多いが、上層階にも5mを超えるガラスが使われたほか、内装にもカラーガラスが使われるなど、さまざまなガラスが使われた案件だった。
なんばスカイオのサイン(2018年竣工)
なんばスカイオのガラス事業部の工事の様子(2018年竣工)