History

沿革

柏商会100年のあゆみ

第3章

経営の強化を図る

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ユニタイズへの対応

サッシとガラスのユニット化が進む

2000(平成12)年ごろにイタリアの大手建材メーカーであるパルマスティーリザ社が、工場でカーテンウォール用のサッシとガラスを一体化させて現場に搬入するユニット方式を開発し、日本のサッシメーカーにも広まった。まもなく関東の物件でユニット方式が導入され、関西にも数年遅れでその波がやって来た。

日本のサッシメーカーではその後、海外製のサッシを中国の工場に輸送し、中国製の強化ガラスを入れてユニット化するようになり、低価格化を実現。そのため当社が得意とする、現場でサッシにガラスをはめ込むノックダウン方式の競争力が弱まった。現場で組み立てる10mクラスの大型ガラスなど、低層階の商業施設部分で使用される特殊なガラスは、ノックダウン方式での施工になるため、当社の仕事は残る見込みだった。その一方、ユニット化で対応可能な部分のガラス工事については、減少することが明らかな状況であった。

対策として、一時は大手サッシメーカーと組むことを前向きに進めた。日本国内のサッシメーカーが中国製のガラスを輸入し、国内工場でサッシにガラスを組み込む作業をすることがあり、その仕事を狙ったのである。当社と懇意にするメーカーもあり、中国のガラスメーカーへ当社の担当者が打ち合せに行くなど、事業として成長する気配もあった。しかし、受注後の設計変更などで費用がかさみ、その未払いも発生してしまう。利益を残すことができず、2011(平成23)年には提訴せざるを得ない案件も発生したことにより、数年で積極的な受注を取りやめている。現在は、特定のサッシメーカーが国内でガラスユニットを組む場合に特化し、受注している。

当社は他にも、新規のゼネコンに営業をかけるなど事業の拡大路線を取っていたが、売り上げは上がるものの利益率が著しく低下した。そこで大きく方針転換をし、選択と集中を実践。従来の取引先の受注に特化し、徹底的な管理の強化により、利益などの向上に努めていった。その他、大板硝子の受注に備え、新しい施工機を積極的に導入するようにもなっている。ガラスの発注ミスを防ぐため、図面から寸法出しをする時のトリプルチェックを日常化することも進め、取引先とのコミュニケーションもしっかりと図り、しかるべき利益を確実に確保することに注力した。これらの取り組みによるニーズの発生は、期待できると考えられた。

本町南ガーデンシティ

本町南ガーデンシティ(2011年竣工、©Wikipedia)

カーテンウォールユニット事業の開始

こうした状況の中、2010(平成22)年ごろから当社は、アルミニウムの下地処理と塗装、カーテンウォールの組み立てを行う株式会社日本電気化学工業所と提携し、カーテンウォールの国内一貫生産体制を構築した。中国製のカーテンウォールユニットに価格面で対抗できず、現在までに受注したのは2案件に留まっているが、ガラス業界の動きへの対応策としての取り組みであった。

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