Discussion

座談会

サイン事業部

積み重ねてきた経験を継承し、新しいサインに挑む

2024.12.20

2009(平成21)年に当社の新規事業として開設したサイン事業部。
スタートから16年がたち、事業部はどのように成長したのだろうか。また、将来をどのように見据えているのだろうか。
現在のサイン事業部のメンバーが、仕事のやりがいや課題、将来に向けて取り組みたいことを語った。

Signage

サイン事業部 座談会メンバー

2009年入社 取締役常務執行役員
サイン事業部長・東京支店管掌

塩川 朋浩

2009年入社
執行役員・設計部長

岩崎 芳親

2009年入社 部長

髙瀬 茂

2012年入社 課長

杉本 健太

2017年入社 主任

前畑 文哉

2019年入社

藤田 知大

INDEX

豊富な経験を信頼につなげてきた15年

塩川氏
岩崎氏

サイン事業部がスタートしてからの15年を振り返り、今思うことは何でしょうか。

私は事業部の立ち上げ時から在籍し、仕事の最前線で働き続けてきたことに手応えを感じています。
受注から設計図面の作成、施工を完了させるところまで、同じ社員が担当していますので、確かに仕事の手応えは大きいです。その分、一人ひとりに幅広い知識と経験が必要になりますが、その点で当社は、施主やゼネコン、設計者から高く評価されています。
立ち上げメンバーである塩川さんと髙瀬さん、そして私は前職からサイン事業に取り組んできて、経験年数は30年以上になります。経験と実績は十分でしょう。かつては主流で、今はあまり使われなくなったサインを扱う時にも、今までに得た知識が役立ちます。
ネオン管や蛍光灯で作られたものを、LEDにリニューアルする仕事が時々あります。配線がどうなっているか、なぜこのサイズになっているのかを知っていると、設計がスムーズに進むので、仕事を通じて若いメンバーに知識を伝えるようにしています。
一般的なサイン工事に関しては、新人教育の資料を用意していますが、全てを載せるのは難しいので、知識の継承は現場で行うことが多いですね。私が定年を迎えるのを機に、特徴的な案件の経緯などを資料にまとめ、残したいと思っています。
それは大切なことですね。若手には現場でノウハウを伝えるようにしていますが、資料があると伝えやすいので。
受注した仕事を納期までに終わらせるのを優先するあまり、役立つ資料を残していくことが後回しになりがちですが、知識や注意点を共有することは重要です。
参考事例として、かつての現場の写真を使って説明することで、信頼につながったケースもありましたよ。自分が担当した物件ばかりではなく、柏商会としての経験の共有や活用は大切なことです。
サインは意匠的であると同時に機能的な面もあり、建物の用途によってどちらを重視するかが違ってきます。そのバランスに配慮した提案には経験が求められます。

若手メンバーは、経験や知識をどのように重ねてきましたか。

私はサイン事業部の中で中堅という立場になり、知識や経験は増えてきていますが、施主や設計者など、提案する相手によって求めるサインが異なります。仕様やデザインがさまざまなので、物件ごとに考えるべきことはたくさんありますね。喫緊の課題としては、提案の仕方を工夫すること。こちらの意図が伝わるよう、提案方法を磨いています。
サインは基本的に正解がなく、見る人の年齢や性別、好みによっても正解が変わるので、説得力のある提案というのは難しい。
サインのよしあしは、人の主観に左右されることが多いですから。
そういう状況でも、私たちはサインの専門職として意見を伝え、施主や建物の利用者にとってよりよいサインを提案しなければなりませんよね。
私は入社8年目で、これまでの経験からどのようなサインがいいか、また、注意すべき点などは分かるようになってきましたが、提案の精度を上げる努力をしています。
いろんな仕事をして、経験を重ねることが必要なので時間がかかりますが、頑張ってくれていますね。
管理面でのポイントとして、こういう作業の進め方をすると、後で問題が起こるというパターンは多々ありますが、それを予測するには経験が必要です。
10年はかかるでしょうね。
サイン事業部は、建築を学んだ人や経験者を採用することがほとんどですが、藤田さんのように入社後に一から学ぶ人もいます。
私はリニューアルを担当し、先方の要望を聞いて提案をしていますが、上司や先輩に相談しながら、経験を重ねている最中です。
苦労も多いでしょうけど、その中での達成感やものづくりの喜びを感じながら、いい仕事をしてほしいです。
岩崎さんがよく言う話ですが、サインの仕事は「飽きない」ですよね。物件ごとに施主の要望は異なりますし、サインの目的も材料もさまざま。私たちもいろんなサインを取り入れ、新しい提案をするので楽しい仕事だと。
そうですよ。常に新しいことに取り組めます。
サインは分かりやすさも求められるので、凝りすぎないことも必要ですが。
杉本氏
前畑氏
藤田氏

一人で担当するからこそ得られる達成感

うめきた開発
会話風景

仕事のやりがいを感じるのはどんな時でしょうか。

サインの施工を終えた時です。サインは建物の印象を決める要素があり、そういう意味では建物の顔と言えますので。
私もサインが実際に付いたところを見ると感動します。担当したある研究所がテレビ取材を受けた時に、画面に大きくサインが映し出されて、自分が提案したものですがかっこいいなと思ったりして。
2025(令和7)年3月にオープンするうめきた2期地区開発事業のグラングリーン大阪南館も、テレビに写るでしょうね。そういう仕事を経験するとモチベーションが上がるので、若手に担当してほしいな。
大手ゼネコンの仕事では、一般の方にも知られている物件に携わることが多いので、家族や友人に胸を張れますよ。
一般の方は、サインを見て何の建物かを判断していると思うので、やはり自分が手掛けたサインが外壁に付くというのはいいですよね。
仕事が完了した喜びは一番ですが、私の立場ではその前に、受注できたという喜びも大きい。
私はサインのデザインと設計が決まった時もうれしいですよ。それまではずっと図面のやりとりですから。グラングリーン大阪南館の場合は、施主や建設会社から図面承諾を得るのに約1年3カ月かかり、製作から施工までが約4カ月でした。
協力業者さんとのやりとりも含めて、仕事のやりがいを感じる場面は多々あります。
サインの設置に関わる人々が足並みをそろえ、それぞれの役割を果たしたことでいい仕事ができた時はうれしいですし、次も一緒に頑張ろうという気持ちになるものです。
関係者と思いを共有し、一つひとつの仕事をクリアして期待に応えることができた時も達成感があります。一連の仕事の中で、いろんな種類の感動が湧いてきて、それを一言で言うとやりがいというか...。
難しい依頼の時に、どうやってクリアしようかと考えるのは面白いです。協力会社さんとも相談しながら、要望がかなう方向で提案ができた時や、依頼とは少し異なる提案になっても、こちらの方がいいと言っていただけるとうれしいものです。

若手の意見を取り入れ、時代の進化に対応

サイン事業部をますます発展させるために改善すべき点や今後取り組みたいことは何でしょうか。

柏商会は今年で100周年を迎え、後継者候補となる5代目も入社していますから、サイン事業部でも新しい時代を見据えた取り組みをしていくのにいいタイミングです。
課題を挙げるならば、IT 化ではないでしょうか。費用がかかるので、新しい技術を何でも取り入れる必要はないと思いますが、タブレットひとつでできる仕事が増えている中で、当社がどうするかを見極めなければならない時期にきています。
業務のIT 化という点では、もっと推進していきたいですね。
今後、タブレットやプロジェクターを使用してプレゼンテーションをすることを求められるかもしれませんし、どれだけコストを割けるのかにもよりますが、意見としてはみんなに伝えなければ。
当社は社内の風通しはいい方ですが、普段の業務では、社内にいてもそれぞれがパソコンに向かって作業をしていることが多いです。今の仕事の相談だけでなく、将来を見据えた提案もしやすい雰囲気ができるといいですね。
誰かと現場に一緒に入る時は、移動時間があるのでいろんな話ができ、仕事のことを教えてもらっています。
移動時間以外で会話をする余裕がないことは、改善が必要ですね。
当社は親睦会である柏栄会の行事が活発で、全社での交流はできていますが、サイン事業部のみで懇親会を開くことは年に1回程度なので、もう少し回数を増やしませんか。家族連れでバーベキューに行くのもいいかもしれません。
いいですね。世間的には社内行事を減らしていく方向にあるようですが、社内で新しい動きを起こすには、社員の交流がきっかけになると思います。会社の将来について議論できる雰囲気を作っていきたいです。
高瀬氏
サイネージ素材

新しい時代のサインを作るために

打合せ風景
ホテルのサイン
ホテルのサイン
天王寺ステーションビル

今後、どのような仕事をしたいですか。

若手には一通りのジャンルの建物を経験してほしいです。当社の仕事で多いのはオフィスビルで、近年は物流施設が増えてきています。病院が多い時期もありました。一方で少ないのはホテルと庁舎で、受注を増やしたい。特にホテルは建物との調和が重視され、お客様への案内はホテルスタッフが行うので目立つサインは必要ありません。求められるデザインが違うんですね。病院は分かりやすさが求められます。
デザイン重視か機能重視か、建物の用途ごとに異なりますからね。
私はジャンルで言うと、商業施設の経験が少ないので、今後やってみたいです。完成後も利用者として見ることができますし、自分の子どもにも興味を持ってもらえるかなと。
サイン事業部の規模としては、あと5人程度若い人を採用して、20人規模になるといいように思います。人数が増えることで、受注できる仕事に変化が生まれるでしょうし、若い人が活躍することで、新しい仕事のやり方が見えてくる可能性を感じています。
社員が増えてチームで対応する仕事が増えると、業務に余裕が出てくると思います。若手の指導を今よりも手厚くできるでしょうし、いい方向につなげたいですね。
新しいサインとしては、デジタルサイネージに進出するのはどうでしょう。
当社はまだアナログサインばかりで、デジタルサイネージはノウハウが必要なので避けてきましたが...。
アナログの場合、高層オフィスビルのエントランスにあるテナント案内板などでは、入れ替わる度に作り直しています。けれど、デジタルサイネージの場合、ビルの管理者がパソコンでデータを変更できるでしょうし、普及が進むと思います。
デジタルサイネージは今後ますます身近になっていくと感じています。デジタル技術はどんどんと変化していきますので、勉強し続ける必要がありますが、取り組みたい分野です。
私はまだ、目の前の仕事に取り組むことに精一杯の部分がありますが、建築や電気の知識、仕事の経験を増やし、自分の仕事ぶりで「柏商会に任せておけば大丈夫」と取引先に言っていただけるように頑張っていきたいです。今担当しているリニューアルは、建物の設計者が関係せず、建築の知識のないお客様を相手にするケースもありますので、自分の知識が重要だと感じています。
時代に応じたサインを提案していくことも必要です。例えばトイレサインの場合、かつては男性が青、女性が赤と決まっていましたが、ジェンダーレス化が進んだ今は、色分けしないかたちでの分かりやすいサインが求められています。
海外の旅行者や労働者が増えたことで、多国籍の方への分かりやすさも大切ですし。
今後のサイン事業の発展という面では、柏商会にガラス事業があることを強みに、ガラスに特化したサインをさらに発展させていきたいです。
社員一人ひとりが仕事で経験を重ねていき、大きく事業を発展させていくことを目指したいですね。これからも共に努力していきましょう。
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